不動産業界に限りませんが、独立開業すると口では言うものの、なかなか独立に踏み切れない人は大勢います。
確かに今は景気が悪いので尻込みする気持ちもわかりますが、あまりにも長い間尻込みしていると、年齢ばかり重ねてしまい、いざ独立しようとしても年齢的にも厳しくなってしまうということもありえますし、景気というものは常に変動しますので、景気が上向きになってから行動していたら、事業が軌道に乗る頃には、また景気が悪くなっているということも考えられます。
私の知り合いにも、十分に不動産業で独立開業できる経験と能力を有し、本人も独立を希望しているものの、なかなか独立に踏み切れない人が何人かいます。
そのような人たちの言い分をまとめると大体以下のようになります。
- 宅地建物取引主任者以外の資格(二級建築士・ファイナンシャルプランナー、管理業務主任者等)を取得して、他の不動産業者との差別化やより多くの収入源を確保してから独立開業する。
- 今は景気が悪いから様子を見る。
- もう少し経験を積んでから独立開業する。
- 独立開業できるだけのお金がない。
宅地建物取引主任者以外の資格を取得してから独立開業する。
このパターンの人ですが、おそらくいつまでたっても独立開業はできないと思います。
なぜなら、不動産に関わる資格は、難関資格の不動産鑑定士や司法書士、マンション管理士、建築士、土地家屋調査士等多岐に渡ります。
資格ばかり追いかけるのは、独立を先延ばしにしたいだけの言い訳に過ぎないと思います。さらに言えば、上記の難関国家資格を取得したとしても、不動産売買の仲介手数料ほど一件の単価は高くありません。
つまり、資格取得に時間を費やすくらいであれば、さっさと独立開業して一生懸命不動産業で営業をした方が、収入面から見ればはるかに効率は良いです。
独立した後で、どうしても業務に必要だと感じた資格のみにチャレンジすることをお勧めします。ただし、独立開業を考えず、企業内での出世を考えるのであれば、色々な資格にチャレンジをするのも良いと思います。
今は景気が悪いから様子を見る。
たびたび申し上げますが、景気は変動します。
正直言って景気が良くなってから独立開業するのでは出遅れてしまいます。景気が良くなれば独立開業する人は当然増えます。
また、これから不動産会社を経営していく中で、当然景気が悪くなるときもあります。たとえ、景気が悪くても業績を伸ばしている会社も大勢あります。結局は経営者次第です。
もう少し経験を積んでから独立開業する。
もう少しってどの程度なのでしょうか?といつも疑問に思います。
確かに経験値は高ければ高いほど、スムーズに業務を処理できる確率も高くなると思います。
不動産業であれば、売買の仲介業務や賃貸の仲介業務・賃貸の管理業務・競売入札等様々な業務がありますが、一番経験値が上がるのは、それぞれの業務の実務に初めて取り組んだときです。
確かに、その後も業務を処理すればするほど、経験値は上がりますが、初めて業務に取り組んだときほど得られるものはありません。ごく稀に珍しい案件も出てきますが、その様な特別な経験は経営上あまり意味はありません。
業務の基本さえしっかりと身についていれば、後は本人のやる気次第です。
独立開業できるだけのお金がない。
融資を受けるための自己資金程度の貯金が本当にない人は、残念ながら独立開業を諦めるか、しっかりと貯金をしてから独立開業を考える必要があります。
いずれにしてもお金の話なので、独立開業をするための貯金も作れないのであれば、諦めたほうが良いかもしれません。本当に独立開業をしたいのであれば、しっかりと貯金をする必要があります。
以上、大きく分けるとこの様な理由で独立開業しない方が多いのですが、本当に独立し、不動産会社の経営をしたいのであれば、どこかで決断する必要があります。
確かに、独立開業の決断は結構な勇気が必要ですが、起業後、経営者は色々な場面で決断を迫られます。起業の決断など、そのための予行演習のようなものです。
どんなに多くの資格を持っていても、どんなに景気が良くても、どれだけ経験を積んでも、失敗する方は失敗しますし、逆の場面でも成功できる方も大勢います。
結局独立開業とは、自分自身が決断できるかどうかの問題です。